【TKD-01】 東工大百年前大岡山移転関連年表

 東工大百年前大岡山移転関連年表(附:関連画像

伊達美徳

2024/02作成

1881/05/26 東京職工学校設立布告 旧浅草区蔵前(幕府の米倉「浅草御蔵」の場所、現・台東区蔵前 2 丁目あたり) 

1890/03/24 東京高等工業高校に改称 校舎配置図 正門風景

1918/09 田園都市株式会社設立(渋沢栄一・渋沢英雄等、東急電鉄の卵)
  ・
土地買収洗足5.5万坪、大岡山9.2万坪、多摩川台30万坪計約45万
  ・経営に矢野恒太第一生命社長と小林一三阪急社長参加

1922/06 田園都市(株)第1回分譲地売出し(洗足地区)。後の東急王国を築く五島慶太が鉄道省から目蒲電鉄へ

1923 大学への昇格後に関する検討委員会が現敷地が狭いので移転を決定
  ・移転先候補地:陸軍糧秣廠3万坪、越中島8万坪、駒場帝大農学部8万坪等

◆1923/09/01 関東大震災 東京市死者不明14万人以上、全壊家屋10万棟以上、被災者340万人以上、東京焼失面積3836ha
  
東京高等工業高校蔵前校舎倒壊全焼 10月駒場東大農学部へ仮移転して授業再開
  ◆政府直属機関の帝都復興院発足 後藤新平
内務大臣兼務総裁
  田園都市(株)が多摩川台地区売り出し

1923/11/01 目蒲線の目黒蒲田間開通 田園都市(株)分譲地は震災による移転者が多く大人気

1923/10/01 東京工業高校の移転土地選定委員会発足

1923/10/17 田園都市(株)と正式交渉開始(大岡山地区

1924 /01 本校用地として田園都市(株)所有になる荏原郡碑衾村と馬込村等の大岡山の地が決定。

  ・蔵前旧敷地12,235坪と大岡山91,793坪を等価交換、その評価金額は184万円余。
  ・東京工業蔵前12,235坪(150円/坪)、田園都市(株)大岡山91,793坪(20円/坪)
  ・田園都市(株)の大岡山土地入手価格8~9円/坪、交換利益100万円
  ・蔵前の跡地の市価は300円/坪と新聞報道あり(報知1924/07/30)
  ・1928年の国家公務員初任給70円→2022年23万円→3300倍
  ・田園都市(株)はこのボロ儲けを資金に武蔵電鉄株を買い占めて東横線鉄道事業へ展開

◆1924/02 政争により帝都復興院廃止、内務省外局として帝都復興局(整地部、土木部、建築部、経理部)発足 

1924/04/21 東京高等工業高校が大岡山移転祝賀行事、仮校舎

1924/06  田園都市(株)は蔵前跡地を復興局に240万円で転売、転売利益56万円

1924/10 東京横浜電鉄創立(田園都市(株)が蔵前転売利益を投じて路線免許を持つ武蔵電鉄を乗っ取り)

◆1925/02/15 時事新報報道「今朝突如、復興局へ会計検査院から取り調べ」

1925/12  遊園地多摩川園開園

◆1925/12~26/02 収賄側の復興局整地部長稲葉健之助・経理部長十河信二逮捕、贈賄側の田園都市元監査役河野通逮捕

◆1926/03 太田圓三復興局土木部長自殺

1927/05 復興局疑獄事件 稲葉河野の公判開始

  ・蔵前跡地の復興局への転売価額240万円=田園都市225万円+河野13万円+稲葉2万円
  ・稲葉の2万円は復興局機密費とし、各社新聞記者たちに2500円を渡し不利な記事掲載を防止
  ・田園都市側役員や復興局側幹部やらブローカー今村やらが登場して利権に群がる 

1927/06/29 復興局疑獄1審判決(収賄:稲葉、十河等5名有罪、贈賄:河野など有罪ーー1929/04/29控訴審で十河は無罪))

・1927 東京商科大学(現一橋大学)が震災により国立に移転
   ・神田の跡地と西武が開発した国立の土地7万坪を等価交換

1928 田園都市(株)は子会社の目黒蒲田電鉄に吸収合併されて五島慶太の東急時代へ

1929/04/01 東京工業大学に昇格 発足時の教員一覧

染料化学科(12)、紡織学科(15)、窯業学科(12)、応用化学科(24)、電気化学科(12)、機械工学科(30)、電気工学科(25)、建築学科(20)の8学科(カッコ内の数字は学生募集人員)、数学教室、物理学教室、物理化学教室、分析化学教室、有機化学教室 

1931 化学分析室竣工(現存) 1932 水力実験室竣工

1933 大岡山本館竣工 (現存)

1934/03/10 東工大は目蒲電鉄の五島慶太専務取締役と4年がかり交渉、大岡山の飛び地状の土地統合して現キャンパス形状に(2022キャンパス配置図

本部所在地と出穂山敷地との間の現在本館等の建物のある場所の民有地18,000余坪を取得し、呑川以西の玉川村・碑衾町石川端および清水窪などの3万2000余坪を手放す土地等価交換、1928年末から4年がかり難交渉であった。また線路敷の確保の一部土地交換もあり、都合3回も等価交換。

東京工業高校の大岡山移転は、田園都市(株)の土地ころがし商売に翻弄された苦難の移転であり、一時は三鷹へ再移転も真剣に検討したほどだった。

田園都市(株)はこの土地ころがしで手に入れた利益を、鉄道事業を行うために路線免許を持つ会社買収にあてて、不動産屋から鉄道屋に転身し、いまの東急電鉄がある。

大岡山キャンパス空撮動画 

大岡山キャンパス2023Google

参考文献等:「土地の神話」猪瀬直樹1988小学館、「帝都復興の時代」筒井清忠2023筑摩書房、「東工大130年史」、ほか)

0 件のコメント:

コメントを投稿